俳句の作り方     秋の俳句

     誰彼もあらず一天自尊の秋   飯田蛇笏いいだだこつ

    だれかれもあらず いってん じそんのあき

 

 

     秋が秋の季語。

    「立秋(2025年は8月7日)から立冬(同年は11月7日)の前日までを言う。

    新暦では8月9月10月に当たるが、旧暦では7、8、9月。

    三秋は、初秋・仲秋・晩秋、九秋は秋九旬(90日間)のこと。

    金秋・白秋・素秋は秋の異称。

    陰陽五行説で秋は五行の金に当たり、色は白を配するところからきたものである。

    素は白の意。

    白帝は秋をつかさどる神。」

    (俳句歳時記 秋 角川書店編)

    誰彼もあらず一天自尊の秋

 

 

     誰彼もあらず一天自尊の秋

    句意を申し上げます。

    誰一人として居なくて、空全体が自分を尊ぶ秋であることよ。

 

 

     鑑賞してみましょう。

    誰一人として私(作者)の傍らにいない。

    過去の人々はもういない。

    私は私の道を行く。

    それが私の生きざまだ。

    ああ、空は自尊の秋そのものだ。

 

 

     これほどまでに秋空を格調高く詠んだ句はないでしょう。

    「一天」の措辞が硬質な光を与えています。

    青空や大空では駄目なのです。

    「一天」でなければいけないのです。

     誰彼もあらず一天自尊の秋

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